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イーハトーブ新聞

イーハトーブ新聞 2008 vol. 1
出光イーハトーブトライアル大会通信

ニックとピーターが再来日、クラシックに参加!戻る

 出光冠協賛20周年記念大会となる今回は、特筆すべき良いことがたくさんあります。
 まず、一昨年の30回大会に、ニュージーランドから特別ゲストとして招待したオリバーファミリーの、いちばん若い二人が自費で参加してくれることです。
 ファミリーの中でもっともテクニックがあり、今年初めに現地スコルパ・インポーター契約ライダーとなったニック(19)と、前回は免許年齢に達していなかったため、デモ見習いライダーだったピーター(16)です。
 ニックは昨年、Aグレード(上から二番目のレベル)チャンプとなり、今年は最上級のエキスパートクラスに昇格して活躍し、早くもオセアニア・ユースチャンプを決めています。ピーターも昨年、南島中級チャンプとなって、今年はAグレードに昇格して活躍中で、二人とも今が一番伸び盛りでどんどんうまくなっています。
 昨年の秋に、スティーブンが電話でこんなことを言いました。「じつはNZ版のイーハトーブトライアル開催を計画中なんだ。そしてニックと二人で考えた結果、ニックはSSDTも世界選手権も目指さないことにした。NZチャンプは目指すけどね。その代わり、また出光イーハトーブトライアルに参加することにしたよ。そのほうがニックのためにも、今のNZトライアル界にとっても有意義だと考えたんだ。」
 その言葉は、私にとって少々驚きでした。しかし、現役時代に華々しい活躍の実績を持ち、だれよりも深くトライアルを理解し、高い見識を持っているスティーブンです。その彼が世界最高峰のSSDTと比べた結果、出光イーハトーブトライアルのほうがいまのニックには重要だと判断したことは、私にとって感慨深いものがありました。
 いうまでもなく、SSDTは世界一過酷であると同時に素晴らしいトライアルです。しかし、私たちの出光イーハトーブトライアルもまた、32年の間に、独自のスタイル、価値観、そして世界に与えるいくらかの影響力を持つに至ったということなのです。そして、それが現在のオリバーファミリーと、NZのトライアル環境にとって、何らかの良い作用をもたらすことは、私だけでなく出光イーハトーブトライアル関係者すべてにとって、このうえない喜びです。
 今回、日本のトップライダーたちとともに走ることで、ニックとピーターがまた一段と成長してくれることを期待しています。

黒山選手、野崎選手がクラシック参加!戻る

 全日本チャンピオン争いの真っ最中である現役のトップライダーが、出光イーハトーブトライアルに参加するというのは、ふつうはありえない話ですが、今回、それが実現するのですからすごいですね。記念写真の嵐になるかも・・・
 もともと二人とも以前から出光イーハトーブトライアルには参加したかったそうですが、今回は全日本トライアルとの日程が重ならないので可能になったわけです。
 もちろん、本気で走れば二人ともオールクリーンのはずですが、クラシックのセクションはやさしいようで、意外とクリーンは難しいところもありますから油断は大敵ですね。
 そうそう、仮にオールクリーンだと、出光イーハトーブトライアルのルールでは年齢が上の人が優勝になりますから、黒山選手が野崎選手に対しては有利です。
 でもちょっと待って!成田匠選手も走りますから、かりに6人ともオールクリーンだと成田選手が圧倒的に有利ですね(笑)反対に、ピーターは最も不利ですが、そんなことに関係なく、黒山選手、野崎選手とも、とても楽しみにしてくれているようすでした。

トレイルツアーの変更点など戻る

 「山から海へ、岩手の美しさを満喫するツアー」として昨年の番組で放映されたため、今年はますます人気が高まりそうなトレイルツアーは、定員を50名まで拡大しますが、あっという間に定員に達する予感がします(笑)ので、くれぐれも申し込みはお早めに!(特にレンタル希望の方は…)
 昨年との大きな違いは、宿泊先が普代村くろさき荘から、田野畑村羅賀荘に変更となったことです。これは定員増加により、くろさき荘での収容が出来なくなったためですが、いずれにしろ昨年までのコースでも羅賀荘の前を通過していましたので、距離的、時間的な増減はありません。
 出光・ヤマハの協働によって、昨年から始まったトレイルツアーは「クラシックのいいとこ取り」と、参加者から大好評でしたが、その経験をもとに一段と安全・安心の体制づくりをした結果、ガイドの大幅増員、レンタルバイクの増加、伴走車とメカニックによるサポート強化など、「満足の笑顔」あふれるトレイルツアーとなりそうです。
 増員ガイド5名は、いままで出光イーハトーブトライアルに参加していたヤマハ社員の方々に、土谷団員(観戦ツアー時代からの担当者)と万澤が先導してコースをみっちり覚えてもらって、当日の任務にあたってもらう予定です。
 そして、心強いのはサポートカーを運転するのもヤマハのメカニックなので、(ほとんどの)マシントラブルもあっという間に解決する予定です。
 それから、今回からトレイルツアーの参加者にも、4桁番号のゼッケンを着用してもらうことになりますので、終了後はお土産にお持ち帰り下さい。(そのへんに捨てないでね・・・笑)

レンタルバイクは20台を予定戻る

 なんと、今回はレンタルの台数を20台に増加。昨年秋発売の最新トレイルバイク、WR250Rもあります!ただし、セロー、スコルパTY-S125Fの3種類のどれかを車種指定することはできません。(事務局で割り振ります)
 そして、事故防止に万全をつくすために、レンタルバイクでの参加者全員を対象に、当日の朝、七時雨山荘周辺で簡単なトレーニング走行を行います。(菅生での「出光イーハトーブトライアルトレイルツアーに行こう」参加者を除く)なお、持ち込み車両の参加者は、このトレーニングに参加は不要です。

ヒームカは「海が見られる初級クラス」戻る

 初級向け「ヒームカ」は、イーハトーブの美しい自然と地元の人々とのふれあいが満喫できる、ネリレベルのクラス”として土曜日にワンデイトライアルとして開催します。
 スタートは七時雨山荘、ゴールは「クラシック」と同じくろさき荘です。ワンデイにした理由は、初級者の二日間長距離走行による過労を避けるとともに、地元参加者がゴール後すぐに帰宅できることと、遠方からの参加者が翌日を帰宅の移動日にあてられるようにするためです。
 可能なところは「クラシック」と同じコースを使い、セクションは10箇所から12箇所程度。以前のヒームカのような引率方式ではなく、あくまでコースマーカーをたどってゆく競技形式です。コース走行距離は約140kmの予定で、舗装区間もかなりあって平均速度がネリより速くなる関係で、50ccの参加は不可とします。(50ccで参加できるのは従来どおりネリ・ブドリです)
 定員は50名を上限とし。すべてのセクションにオブザーバー(団員4人が順々に先回りする)をつけ、長いコースによる初心者の不安を解消するとともに、正確な採点法の徹底とスムーズな進行を実現します。
 くろさき荘でゴール・自由解散となりますが、遠方からの参加者は疲れている上、ガソリンスタンドも閉まってガス欠の心配をしながら慣れない夜道を帰るより、くろさき荘に一泊して翌朝帰る、あるいはクラシックを見物しながら帰ることを推奨、というのが私たちの考えです。ヒームカも、基本的な考え方は、「あくまで楽しく、安全に」なので、ご理解、ご協力をよろしく。
 ちなみに、「ヒームカ」とは、「ネリ・ブドリ」と同じく、宮澤賢治の作品中に登場するキャラクターからとったもので、この場合は「楢の木大学士の野宿」に登場する、人ではなく擬人化された山(姫神山)のことです。もちろん名前の使用に関しては宮澤家の許可を、今回もあらためて得ています。みなさんもだれかに聞かれたとき、えらそうに教えてあげられるように(笑)「楢の木大学士の野宿」をご一読下さい。ほのぼのとしたいい物語です。

親子バイク教室の申し込みもお早めに!戻る

 昨年テレビで放映されたため「親子バイク教室」も、今年の申し込みがたちまち満員となる予感がします(笑)開催地は土曜日の安比会場だけでなく、日曜日の岩手町・北緯40度公園、七時雨山荘での開催も検討中です。
 これは子供が親とともにバイクにふれあう「原体験」としての思い出作りが目的のイベントであり、テクニック向上とか英才教育というものではありません。しかし、大人以上に子供の上達の速さがすごいことに、親のほうが学ばされるという意味では親の教育になるかもしれませんね(笑)
 一言付け加えると、子供扱いせず、10歳までに大人の見習いをさせて才能を見とどけるという教育方法が、江戸時代までの日本の高度な文化を支えていたのです。(今は子供あつかいしすぎて駄目な子にする場合が多いかも・・・)
 ちなみに親子バイク教室は90年代初めに、万澤が主宰していた「二輪車安全振興会」によって、横浜と神戸の出光グランドで開催された「親子バイク広場」がその原型であり、そのノウハウをまるごと自動車工業会二輪部会に寄付したものが、ほぼ原型のまま今日の「親子バイク教室」として継続されています。したがって、出光イーハトーブトライアルでの開催は、いわば里帰り開催とも言えるわけです。ぜひこの機会に“バイク原体験”をしておきましょう!

ネリ・ブドリのセクションとコース改善!戻る

 昨年は一部のセクションで渋滞が発生し、岩手の清々しいトライアルを期待してきたライダーの皆さんを裏切る結果となり、申し訳ありませんでした。
 今回は、スムーズで気分の良いセクションとコースの取り回しを実現するために、団員がいろいろ工夫しているので、昨年の問題はすべて改善の予定です。
 コースでも、よりきれいな場所を見てもらえるような取り回しを調査中なので、イーハトーブならではの美しさ、楽しさを満喫してもらえると思います。
 ヒームカ増設により、従来のネリ参加者が移行すれば、昨年より参加人数が減ることも予想され、渋滞発生の可能性はさらに低くなることでしょう。

前夜祭、みんなで盛り上がろう!戻る

 昨年まで何回か安比名物の花火が見られましたが、今年は開催日が本当の月末になったため、花火が見られません。そのかわりもっとすごい人間花火が・・・!
 そう、前夜祭で黒山選手・野崎選手のデモが見られるかも?
 前夜祭会場は雨の影響を避けるために今年も屋内で行われますが、デモはやっぱり外で…となると、会場の近くで適当な場所があるか検討中ですが、できるだけやる方向ですので、当日をお楽しみに。ただし、その場合でも雨には勝てないので、そのときはゴメン!
 でも、前夜祭そのものはいつも以上に盛り上がるように、ただいま企画が進行中ですので、これもお楽しみに。
 あ、そうそう、時間が長くなりすぎないようにという要望を万澤が出しておきましたので、割とコンパクトにまとまると思います。(万澤のあいさつが短く終われば・・・だ、誰だ、そんなこと言ってるのは!?)

新発売の「出光ゼプロバイク4T」を全員に!戻る

 なんとなんと、出光冠協賛20周年記念大会ということで、参加者全員にこれから発売される4ストロークバイク用オイルの新製品、「出光ゼプロバイク4T」1リットル缶を、参加者全員にプレゼント!
 しかも、発売品そのもののデザインに、イーハトーブマークが印刷された冠協賛20周年記念缶とくれば、使うのがもったいなくて飾っておきたいくらいですね!(良さを実感するために、やっぱり使ってね)
 このオイル、一昨年の30周年記念大会で参加者全員にプレゼントした、あの1本2万円(開発総額÷試作本数)のオイルが、とうとう市販されることになったというわけ。
 簡単に言うと、省燃費性能を重視した最近の四輪車用オイルとはまったく違うもので、空冷二輪車用途に向くように、最新の出光モータースポーツサポート技術の粋が注ぎ込まれた最高級オイルです!これからは出光のガソリンスタンドに行けば、バイク専用オイル「出光ゼプロバイク4T」があるわけですから、これは革命的ですね。
 トライアルの場合、舗装路を気分良く走るだけでなく、草ぼうぼうの険しい山道を登るときなど、風も充分に当たらず、エンジンの熱環境や高負荷は非常に過酷なものとなります。それにも十分耐えるように作られたのがこの「出光ゼプロバイク4T」なので、正真正銘、イーハトーブで生まれた最高級オイルです。
 出光イーハトーブトライアルに参加するときはもちろん、ふだんのロードバイクにもぜひ愛用しましょう!

「歓迎祭」をくろさき荘で実施戻る

 いままで前夜祭といえば安比会場で開かれていたため、クラシックのライダーは寂しい思いをしていましたが、今回はくろさき荘で「歓迎祭」を開催するため、寂しい思いはさせませんよ(笑)
 これは、ヒームカのライダーが解散後、くろさき荘に一泊して翌朝戻る場合も含め、ライダー全員に楽しんでもらおうという企画です。
 内容は、普代中学校の神楽舞、有名ライダーのトークショウ、豪華景品が当たる抽選会など、盛大な「歓迎祭」(位置づけとしては安比の前夜祭に代わるもの)を開催することにより、泊まったほうがよりいっそう楽しめる設定とします。
 遠方からの参加者は疲れているうえ、ガソリンスタンドも閉まってガス欠の心配をしながら慣れない夜道を帰るより、一泊して翌朝帰ることを推奨、というのが私たちの考えです。

コンクール・デレガンス戻る

 今年で3回目となり、ますます参加台数が増えそうなのが「コンクール・デレガンス」。
 「走る以外にも、楽しみの輪を広げよう!」という趣旨で開催されるのですが、ひらたく言えば「俺のバイク、いいだろう?」と自慢しあうのが本質です。まあ、トライアルも「俺の腕、いいだろう?」と自慢しあっているのが本質ですから、モノかウデかの違いがあるだけで、同じことをやってるわけですね(笑)
 今回から、七時雨会場では行わず、安比会場だけで行われるので、七時雨会場から出発する方は運ぶ手間がかかりますが、ご勘弁下さい。
 その代わりといってはなんですが、出品者全員にイーハトーブTシャツを差し上げます。(台数にかかわらず、出品者一人に一枚です)
 来年からツインショッククラスがクラシックに追加されますので、いまのうちからピカピカにして、モノとウデと両方自慢できるように準備しましょう!

来年から「ツインショック・クラス」がクラシックに追加される!戻る

 もうすでに、全国各地でツインショックのトライアル大会が開催されていますが、その参加者なら、各地の大会に参加している出光イーハトーブトライアル大会副会長、成田省造さんとはおなじみのはず。
 で、その成田パパ(匠君と亮君と区別のためこう呼ぶこともある)が音頭を取って、来年からツインショック・クラスをクラシックに追加します。
 ツインショックだからって、生ぬるいセクションをヨロヨロ走るのではなく、本気でモノショック(1本サス)を打ち負かしてやる!という、気迫のこもった方だけを対象とする中級クラスのため、クラシックと同じセクション、コースを二日間走ることになります。
 言い換えれば、全国で行われているツインショック大会の最高峰と位置づけられるハードな(2本サスにとっては)大会となるわけです。
 でも、考えようによっては、ツインショック・クラスではなく、ツインショックでクラシック優勝、あるいは上位入賞なんていうことになれば、超カッコイイですね!そんな気骨のあるライダーの出現を楽しみにしています。我と思わん方は、さっそくいまからマシン作りに取り掛かりましょう!

トライアルに対する考え方を変えよう!戻る

 菅生でのプレイーハトーブで、参加者の様子をみているうちに、どうも根本的なところからトライアルに対する考え方が間違っていると思えたので、そのことを書いておきます。
 トライアルは「なるべく足を着かないようにする競技」というのは、間違いではないのですが、ずばり本質を言うなら「なるべく足を着かないようにセクションを出る」競技なのです。
 すなわち、セクションは入り口を入ったら出口から出る、コースにスタートしたら、ゴールに到達する。家を出たら、家に無事戻る・・・というわけで、走破力と信頼性を試されていることが本質なのです。そこに「なるべく足を着かないように・・・」ということが加わってトライアルとなるので、優先順位としては出口を出ることのほうが絶対的に上なのです。
 しかし、どんなにうまい人でもクリーンは無理・・・というセクションを私が設定したところ、参加者全員がそこをなんとか足を着かないようにと、無意味にこらえるので、結果としてラインを外れたり、エンストしたり、スリップしたりで、ほとんど5点になってしまうのです。これでは山のコースに出たまま戻ってこない人になってしまいます。
 全員が他のセクションに移動したあと、私はカメラをぶら下げたまま試しにやってみたら、足つき2回だけでなんなく出口を出ることができました。感触としては1点でも行ける気がしたほどです。
 これは私がうまいと自慢しているわけではなく、考え方が違うことを伝えておきたいのです。
 つまり無意味にバランスを取っているより、足を(効率よく)着いて、何が何でも出口までマシンの前進を維持するのです。そうすれば5点にはならず、クリーンが無くても、結果的に5点がひとつも無ければスコアは大幅にアップし、ことによると優勝・・・となるかも知れません。(先日の春トラ・ネリ優勝の千葉さんはまさにこのとおりでした!)
 それには、足の着き方と離し方のテクニックが重要です!
 足はただ着くのではなく、できるだけ前に着くのです。だって、バイクは前進しているのですから!そして足を地面から離すときに地面を蹴るように足を上げると、傾いていたバイクが起きるので、それ以上無駄な足つきが減るだけでなく、直立したバイクは傾いたバイクよりグリップが良いので、より高い駆動力が得られるのです。
 先日の菅生のセクションでは、雨上がりの滑りやすい逆キャンバーでターンの連続だったので、この方法を知らないとまったく前進すらできなかった・・・というわけです。さあ、バイクを常に前進させるために、きょうから足つきの練習をしましょう!(万澤安央)