無事故記録29回に更新[ 戻る ]
大会参加のみなさん、おつかれさま。創始以来、イーハトーブトライアルは交通事故が一件も無い大会であることを誇りにしてきた。今回も、その記録を29回に更新できたのは参加者のみなさんの協力と、地元の方々の配慮(詳しくは後の記事参照)のおかげでもある。
ともかく無事故で終わったことを素直に喜びたい。来年以降も、この記録を伸ばしていけるように、思いを新たに次の大会に臨もうではないか。
大会参加のみなさん、おつかれさま。創始以来、イーハトーブトライアルは交通事故が一件も無い大会であることを誇りにしてきた。今回も、その記録を29回に更新できたのは参加者のみなさんの協力と、地元の方々の配慮(詳しくは後の記事参照)のおかげでもある。
ともかく無事故で終わったことを素直に喜びたい。来年以降も、この記録を伸ばしていけるように、思いを新たに次の大会に臨もうではないか。
今年は、イーハトーブの大会史上、第10回大会あたりのレベルまで参加者が減ってしまい、クラシックは80余名、サンムトリは40名と、予想をはるかに下回る参加者減となった。一方、ネリ・ブドリは260名と激増したことでもわかるように、中級者クラスが敬遠されているようだ。
しかし、今回のクラシックには女性が3名参加し、見事に完走しているだけでなく、そのうち2名は一日目の最終セクションである普代浜のヒルクライムを見事に登りきっているのだ!つまり、トライアルのコツをつかんでいれば楽ではないにせよ、十分に完走は可能だし、簡単ではないからこそ面白いというトライアルの奥深い喜びに目覚めるはずだ。来年はNZライダーたちも走るから、うまい人の走りを見て大いなる上達をめざそう!
この原稿を書いている時点で、国際B級ランキングトップ(もう一人いるけど)になっている由君のデモンストレーションは、昨年以上に体力も技もアップしていて観客を大いにわかせていた。とくに昨年までヒームカが訪れていた平井賀海岸のデモでは地元の子供たちがデモの終わった由君に次々と握手をしていたのが印象的だった。また、予定に無かった安家元村でも大勢の地元ファンの要請でパフォーマンスを披露、大喝采を浴びていた。岩手町の北緯40度公園でも大勢の観衆を魅了した。来年は予定を変更して、平井賀、安家、平庭、そして40度公園の4箇所を無理なく回れる時間帯に設定する予定だ。そのときはIBクラスのチャンピオン、高橋由君と紹介される…はずである。
サンムトリは、昨年までのブドリと同レベルのライダーを対象に新設したクラスだが、セクション設定は多少長めにして手ごたえを持たせるようにした。コースも雨天時にはかなりハードなはずだったが、雨の上がった今回はそれほどでもなかったかも知れない。そして一周目、二周目ともに時間制限を持たせることで、適度な緊張感のあるトライアルになった。が、これでもまだ物足りないという人は、もはや中級ではなく上級クラスのはず。イーハトーブは選手権トライアルではないので、あくまで初級と、中級レベルに限ってスポーツ観光としてのトライアルを楽しむ、というのが基本精神なのである。
台風一過の晴天に恵まれた初のクラシック観戦ツアーは、まさしくクラシックのおいしいところだけつまみ食いしたかのような楽しいツアーだった。問い合わせは多かったものの、結局、当日の参加者はわずか2名だったが、トライアル観戦だけでなく、文字通りの観光ツアーもかねて、無理のないペースで気分良くツーリングをした二日間だった。
来年以降も続ける予定なので、これからクラシックに出たい方はもちろん、クラシックを終えてトライアルから遠ざかろうとしている人にも、これなら年に一度の楽しいイーハトーブ体験となるはず。毎年、ツアーに参加し続けるだけでもイーハトーブの空気に浸る喜びは十分に味わえる。250cc以下(51cc以上!)のオフロードバイクでも、二人乗りでも参加できる点は今後も変えない方針だから、いまから楽チンなバイク探しをして来年は友達を誘って参加しよう!
大会プログラムでも紹介したように、ニュージーランドのオリバーファミリーは、親、子、孫の3世代ライダーで総勢8人というトライアル一家だ。来年30周年記念大会を迎えるイーハトーブトライアルにはうってつけの存在なので、たとえば親(アラン爺さん)、長男の妻(デボラ)はネリに、3人の孫のうち上二人(アンドリュー、ニコラス)はブドリ・サンムトリに、長男(スティーブン)、次男(グラント)はクラシックを存分に走ってもらい、来年まだ14歳で免許が取れない末の孫(ピーター)には、高橋由君とともにデモ走行をしてもらおうかと思っている。
日本ではトライアルをやる人はトライアルだけ…という場合が多いがイギリス系の人々はロードレースライダーが冬にはトライアルをやったり、エンデューロに参加したりもする。オリバー一家でも、アラン爺さんと、スティーブン、グラントはトライアルだけでなく、エンデューロでも大活躍していた。つまり、ライディングスタイルの幅が広い点が彼らの特徴なのだ。
来年はそういうつもりで彼らのライディングをじっくり観察すると、上達のヒントがいくつも見つかるはず。長くライディングを続けるためにも、本物ライダーから学ぶことは大切だ。
あ、そうそう、今年のテレビ番組にたぶん使われると思うが、長く急なヒルクライムを登って行く息子、孫の後ろから68歳のアラン爺さんがピッタリついて行く姿には、誰もがきっと驚かされるだろう。
イーハトーブ新聞第1号でも予告したように、来年の大会から後部反射器の装着徹底を図る方針だ。これは道路運送車両の保安基準に決められている赤い反射器のことで、尾灯の付近にキチンと機能するように取り付けてあることを車検で確認するので、いまから準備しておいてほしい。
第三十八条 (後部反射器) 自動車の後面には、次の基準に適合する後部反射器を備えなければならない。
一 後部反射器(被けん引自動車に備えるものを除く。)の反射部は、文字及び三角形以外の形であること。
…と、ここで気づいたのだが、昔は直径25ミリの円が納まることと決められていたと思ったのだが、いまは大きさ、面積の指定がどこにも書いてないので、小さな長方形でもいいのかもしれない。(違っていたら事務局までご連絡を)円形より長方形のほうが車体中心面に取り付けやすいので、自分のガスガスに合うものを早速さがしてみようかな。取り付け上の注意として、リアタイヤで巻き込んでしまうことのないように、丸太越えの衝撃に耐えられる位置と重量とフェンダーの剛性の兼ね合いをしっかり確かめてくることが大切だ。
トライアルでは一般道路をコースの一部として走行するために、常に他の交通に注意、配慮する必要がある。とくにカーブミラーのあるような山道、林道では、一瞬でも発見を早めるために、ライト常時点灯が非常に重要なのだ。
大会規則に走行中はライトを点灯すること、点灯していないとペナルティと書いてある理由は、常時点灯することが事故回避手段として有効だからだ。点灯していない、あるいは点灯していてもライトが暗いと、カーブミラーの効果が半減するし、わずかな発見の遅れが事故につながる恐れがある。もちろん、クルマでも上向きライトで走行するのが最良の方策だ。
だから、常時点灯、それもライトが暗い車種(ほとんどがそうだ)では上向きのまま走行してもらいたい。対向車がまぶしいのでは…?との心配はトライアルバイクのライトではまず無用だ。それに周りが明るいときにはライトの光はまぶしく感じないものだから、そんな心配をするより早く対向車に自分を発見してもらえることのほうが重要なのだ。くれぐれもイーハトーブ初の事故当事者として不名誉な伝説を作らないように!
トライアル大会後、地元の方から苦情があった。上記の常時点灯のことに関しても、「見た限り点灯しているバイクは無かった」とメールに書いてあった。
まさかとは思うが、点灯しないで走っている人は上記の常時点灯の意味を良く理解してもらいたい。それに追い越しのことも「左カーブでも追い越すバイクがあり、危険を感じて止まってやりすごした」と書いてあった(事故を回避する配慮を、相手にしてもらったわけだ)が、これが事実だとしたら、思い当たるライダーはそれがイーハトーブトライアルを存亡の危機に追いやる行為だと反省してもらいたい。
とにかくイーハトーブトライアルは「地元の方のお庭を走らせていただく」ことで成立しているのだから、地元の方に危険を感じさせる運転をするなどもってのほかだ。大会規則にもあるように「単なる参加者の意識ではなく大会の存続に協力する気持ち」が参加の条件なのだということを忘れずに!
一般道とは違って、車の入ってこない山道に行くと、ライダーによってペースがかなり違うことが多い。こんな場合の大原則は、“追いつかれたら道を譲る”ということ!追いつく人は明らかにペースが速いのだから、狭い山道ならなおさら少しでも早い時期に、追い越してもらうのに必要な広さのあるところで自分が速度を落として、場合によっては止まって先に行ってもらうこと。これがモータースポーツの大原則であり、遅い人がヘンにがんばるようなことだけは危険を招くのでしないでもらいたい。
また、追い抜くほうも、そこどけそこどけの意識ではなく、先に行かせてくれてありがとうの気持ちをもって、無理な追越をしたり、追い越しざまいきなりアクセル全開なんてことはしないように。これで道を譲ってあげた人に砂利がいっぱい当たって憤慨しているメールも今回来ていた。恩を仇で返すことのないように、あくまで紳士的に安全に、さっそうと追い越してもらいたい。
同じく、地元の方からの苦情メールの一番初めに書いてあったことは、(1)感謝と配慮(が足りない)山林内で挨拶しても返答がなかった(無言)。 これが事実なら、思い当たる人はくれぐれもこのような失礼の無いように振舞ってもらいたい。地元の人の反感を買うようでは大会の今後はないものと心得よう。
道を歩いている人はむろんのこと、畑や家の中からこっちを見ている人がいたら、すばやくこちらから手を振ろう。反感を持っていない人ならかならず手を振ってくれるか、軽く会釈を返してくれるはずだから。ホンの一瞬でも、こうして地元の方と交流できるのは気分がいい。そしてイーハトーブトライアルの印象も同時に向上してゆくのだ。
これは苦情にあったわけではないが、たとえば普代浜や北緯40度公園などで地元の方々が歓迎の食べ物飲み物を用意して下さっている場合、それが当然であるかのように無言で飲み食いして立ち去る…という人を見かけた。これもとんでもない失礼な行為である。「いただきます」「ごちそうさま」「おいしかった」「ありがとうございました」などは、本当に最低限の感謝の言葉なのだから、必ず相手にはっきり聞こえるようにお礼を述べてから去ってもらいたい。こんなこと、以前なら言わないですむ大会だったのに…情けない。
来年で30年を迎えるこの大会は、地元の方々のさまざなな協力で成り立ってきた。それだけ支持されてきたことは確かなのだが、必ずしも賛成派ばかりではないのはどの分野でも同じことだろう。たびたび書いているように、今回は大会後に地元の方から苦情が2件寄せられた。その両方に共通していることは水の汚染に対しての指摘だった。かいつまんで言えば、バイクで美しい水を汚していいいのかということだ。
これに対する回答は、今後、出光イーハトーブトライアルでは水質汚染をしないように、やむを得ず横断する場合を除いて、基本的には流水に乗り入れることのないセクションとコースの設定をするということ。
いずれにしろ、自然環境保護の観点から、トライアル開催が非常に難しい時代となっていることだけは参加者も含め、トライアル関係者全員に認識してもらいたい。だからこそ、実行団としては反対派の人もやがて応援する側に回ってもらえるような努力は惜しまないつもりだ。
来年で30周年記念大会を迎えるイーハトーブトライアルだが、今後の開催に立ちふさがる大きな問題が二つある。一つは、乗れる実行団員があまりに減少してしまったことと、中核をなす団員たちの高齢化である。
草刈や、セクション、コースの設定に、いまだに開始当初のメンバーが活躍するのは、ある意味ではめでたいことだが、他にやる人がいないから…という現状は深く憂慮するべきものがある。大会当日ですら、バイクに乗れてコースと地名を知っている団員があまりに少なく、団長とその右腕の中村君がクラシックの先行ライダーをしなければならなかったほどだ。いずれにしろ、今後の開催継続のためには、いまのメンバーでもできる形に大会のありかたを大幅に変える必要があることは明白であり、来年の大会は驚くほど形式が変わるかもしれない。ともかく、バイクに乗れる人が大挙、実行団に加わってくれれば心強いのだが…。
もうひとつは、環境問題を引き起こさずに開催するための、さまざまな工夫と土地管理者との交渉である。言い換えれば今後の開催には相当な時間と労力が必要となるわけで、ただでさえ人手が足りない現状では、次回以降の開催にあたって、十分な対策や準備ができるか極めて危ぶまれるところでもある。
それらの問題とは別の問題もあった。今回もまた元イーハトーブ参加ライダーが手引きをして(でなければ迷うはず)、エンデューロマシンのグループが岩泉町山林内でクラシックのコースなぞりをした跡を発見して、コース設定の疲れが3倍になった。
何度も言うようだが、イーハトーブトライアルの山岳コース(全クラスとも)は有料なのである。コースに損傷が出来た場合は現状に戻す条件つきで、森林管理署に走行距離X台数の使用料を払って、大会のときだけ通らせてもらっているからこそ、山岳コースを大会以外のときに走ることを禁止しているのだ。
コースなぞりの彼らが勝手に走って掘り返した丸太手前の穴や、深く刻まれたわだちがトライアル関係者のものではないと、森林管理関係者が区別できるわけもない。結局、彼らがエンデューロマシンでコースに与えた損傷は、すべて実行団員が修復する羽目になるのだということを、コースなぞりの人たちは理解、反省し、今後決して山岳コースに立ち入らないでもらいたい。(実行団員になれば、イヤというほど走れるんだから来れば?歓迎するよ)
岩手のスポーツ観光として地元の方々に応援してもらえる大会になるために、できるだけの努力をしてきたつもりでも、まだまた努力が足りないことを思い知らされる一方で、こんなふうにバイク仲間に足を引っ張られるような状況があるのは実に悲しくて力が抜ける。
でも、トライアル競技の面白さと、素晴らしい岩手の美しさをバイクで体験するツーリングの組み合わせは、親から子、孫に引き継ぐだけの価値があると信じている。そのためにも引き継いでもらえるような最良のかたちを探って行きたいと思う。次回も参加してくれるつもりなら、規則書にも書いてあるように、くれぐれもこの大会の存続に協力してくれる意識の人だけに来てもらいたいと考えている。
では、また来年の8月、輝く笑顔でみなさんを迎えられるようにいまから準備にとりかかるとしよう…。
(万澤記)