IDEMITSU IHATOVE TRIAL

イーハトーブ新聞

イーハトーブ新聞 2002 vol. 3
出光イーハトーブトライアル大会通信

大会無事故記録が26年…でもよく考えて!戻る

 今回も無事に終了し、イーハトーブトライアルは創始以来26年交通事故ゼロの記録を更新。参加者のみなさん、良いマナーを発揮してもらい、ありがとうございました。…と思っていたら、大会後、岩手警察署から「クラシック・ヒームカのライダーたちが、一時停止を守っていない」との注意があった。安家元村の三上石油で給油後、ヒームカは昼食後すぐの一時停止の、あの場所のことだよ!今回は大目に見たが、来年以降は厳重に取り締まる方針とのこと。もちろん、交通違反で切符を切られたライダーは失格だし、それ以上に大会の今後に大きな支障となってしまう。「単なる参加者意識ではなく、この大会の存続に協力するつもりで参加して下さい」と規則書にある意味をもう一度よーく考えて! つくるは長年、こわすは一瞬だからね。(万)

こだわり(すぎ?)の新セクションご容赦!戻る

 ネリ・ブドリの新コースと、「スキー場ゲレンデ走行」「セクションのこだわり」は実行団員にとってもひとつの挑戦でした。スキー場ゲレンデ走行は思ったとおり「絵」になりました。当初心配されたゲレンデの荒れも、さすがトライアルバイク、一切ありませんでした。
 今回はセクションのこだわりが、ちょっといきすぎた感じで、いままでになく難易度が高い結果となりました。特にネリ参加者(初級者)には「エッ」と思ったセクションもあったと思います。
 まだまだネリは15年です。ようやく軌道に乗ってきたかな?とここ数年感じてきました。これから5年かけて「ネリ」を育てあげて、地元の皆さんにも更に応援してもらえる大会としたいですね。
 最後に地元の警察・消防・牧場の方・沿道の方etc たくさんの協力で今年も終えることができました。この気持ちを忘れずに来年のために(多分10月頃には)準備に取り掛かります。

チアキ、初めての涙戻る

 前夜祭進行中に思わず涙がこぼれました。ようやくこぎつけたナ、とホッとしたからでしょうか?ライトに照らされた参加者の表情が一人一人輝いてみえたからでしょうか?それとも15年の節目を自分で感じたからでしょうか?
 瞬間、こんな気持ちになれるから「イーハトーブトライアル」なのかもしれませんネ。(ネリ統括責任者・鈴木千秋)

ネリ・ブドリの感想書き込み募集!戻る

 今回のネリ・ブドリは前半コース変更により林道走行距離が伸び、進行の遅れを心配しましたが、ほぼ予定した時間内で競技を終了できました。
 安代SSで給油後、青沢からわんだい牧野への新コースはいかがでしたか?
 また、田山ドライブインで昼食後、丑山からの戻りコースもかつてのコースに変更したことで、変化を持たせることができたと思いますが、参加者のみなさんはいかがでしたか? 感想などあれば、「出光イーハトーブトライアル」掲示板に書き込みしてもらえれば来年の参考にさせていただきます。

セクションはたしかに昨年よりも難しかった…戻る

 …と思いますが、反面楽しかったという参加者がいたのも事実。あのセクションレベルでは「これならずっとネリでいいや」と思った経験者も多かったのではないでしょうか?
 実際ネリはブドリと同じ参加料で前夜祭もあり、さらにセクションレベルが経験者に「ちょうどいい」となればなおさらネリを卒業しなくなっていくでしょうね。でも、これは本来のネリの役割を考えるとあまりいいことではない!!

来年からは今年レベルが基準になる?戻る

 したがって来年募集する際に「ネリは去年のようなセクションではないよ」とはっきりうたって、きちんとそれを実行し数年かけて改善していくつもりです。そのひとつの考え方として、ネリに人数制限を設けることも検討する必要があるかもしれません。
 イメージは150名。セクションを思い切り「初心者向け」にした上で、余裕あるスケジュールにより、完走の喜びを味わってもらうと同時に、予想外のトラブルを未然に防止することが人数制限の目的というわけです。もうひとつの方法として、現在のように初心者とそれをヘルプするベテラン参加者が楽しく参加できることを可能にする妙案・・・アイデアがないこともない。もう少し実行団内での検討が必要。お待ちください。
 ブドリのセクションは、ネリとのバランス上、当然のように難度が上がりました。ところが、選手は思ったよりも軽々とセクションを走りきっていました。
 うまい人が多いなぁという印象をもつとともに、自分のレベルで考えてはいけないのだなぁと思う面と、ブドリってこれでいいのかな?という面と…複雑な心境に陥ってしまいました。ブドリ参加者の方も、今回のセクション難易度についての感想を掲示板に書き込みよろしくお願いします。(ネリ親・石山洋治)

TYS125Fの劇的デビュー戻る

 なんといっても、今回のイーハトーブトライアル最大の話題はTYS125Fデビューだった! ヤマハの歴代トライアルマシンをほとんどすべて手がけた、ご存知、ヤマハの木村治男さんが数年がかりで開発してきたものが、ようやく生産試作車というかたちで登場したのだから、この意義は大きい。しかも、劇的なデビューライダーに、ヒームカに初参加のヤマハ社内ド素人、岡本香さんを選んだというのが木村さんらしくて、また素晴らしかった。「だれもが乗れトライアルバイク」というコンセプトどおり、トライアル歴ゼロの彼女は見事完走し、ゴール後しばらくその感涙が止まらなかった。(イーハトーブトライアルHPで感動の画像をぜひ見てね)トライアル伝道師、木村治男さんに感謝!

役割がちがうTYS125F戻る

 いうまでもなく、TYS125Fは選手権トライアル用ではなく、イーハトーブトライアルのような草トライアル向け、つまりふつうの人々のためのバイクで、価格も40万円以下を目指しているという。だから岩手では、山菜・キノコ採り向けの山バイクとして大ブレーク!…なんてことになるかも知れないし、原宿や青山で大繁殖するかも知れないのだ。高性能だが、高価で、専門的すぎる方向に進化を遂げた世界選手権用バイクとは別の役割を背負ってこの時期に登場したTYS125Fは、この先、思いがけない発展をトライアル界にもたらすかもしれない。来春の発売がいまから待ち遠しい!(万)

岡本さんからのメール戻る

 で、そのTYS125F劇的デビューライダーの岡本さんからのメールご紹介。

万澤 様
 こんにちは。ヤマハ発動機 岡本と申します。先日の大会の際は大変お世話になりました。大会が終わり4日が経ちますが、まだまだ感動は薄れていません。ただ、大会終了後は感動と共に疲労も一気に出てきました。大会中は緊張から気が張っていたので感じませんでしたが、初心者の私にとって2日間はかなり過酷だったようです。2,3日は全身筋肉痛に悩まされました。。
 スタート前に万澤さんがおっしゃっていた様に、ゴール直後は感動と安心感で涙が止まりませんでした。無事に完走できたのも、木村さんを始めとするいろんな人のお陰だと思っています。
 大会参加前に本・ビデオで大会の様子は観ていましたが、実際に参加してみるとそれ以上に素晴らしさを肌で感じる事ができました。
 景色の綺麗さ、地元の方々の暖かさ、大会運営実行団の方々の努力等々、全てがこの大会の素晴らしさを作り上げている事を感じました。本当にありがとうございました。(中略)
 それでは。
 ヤマハ発動機株式会社モータースポーツ推進室 岡本 香

万の一言:岡本さんの感動は自分の努力の結晶ですよ。完走おめでとう!

トウチュウの素晴らしい記事!戻る

 関東地方のみなさんは、きっと8月28日(水)のトウチュウを見てビックリしたでしょ?! 中ほど(16ページ)になんとカラー写真3点入り8段抜きで、出光イーハトーブトライアルの記事が!これは第一回から取材を続けているトライアルジャーナリスト藤田秀二さんによるもので、ヤマハの木村さんの誘いで参加するようになったロードレースのトップライダー難波恭司さんや、岩崎勝さん父娘参戦の話題、それにTYS125Fの記事など、さまざまな角度からイーハトーブトライアルの魅力を伝えている。あらためて、トライアル伝道師、木村治男さんの努力と、フジシュウーさんの写真とペンの力に感謝!(万)

コンディ100の魅力戻る

 ホンダXR100のエンジンをスペイン製車体に積んだ、初心者向けバイク、コンディ100トライアルの果たす役割は、もしかすると、とてつもなく大きいかも知れない。(株)エトスデザインから10月に発売となるこのバイクは、とにかく軽く(69.5kg)、シートが低く、キックも軽いので、小学生低学年からでも乗れそうだ。しかも、重要な点はこれほど安定して走れるバイクはめったにないと断言できるほど、どんな地形でも沢の中でも進路を乱されることなくピタリと安定していて、小回りもハンドルいっぱいに切って回ることが簡単にできてしまう。その場で停止するスタンディングもこれなら何分でも立っていられるほど安定している。この抜群の安定感こそがコンディ100の最大の売りものだから、まさにこのバイクで初めてのライディングを覚える人は幸せ物だ!
 価格は39万8千円だが、親子三代で使うとすれば、これはホントのお買い得!
 台数限定で生産しているので、手に入れるなら今しかない! 純粋に商売としてなら他に儲かる方法はいくらでもあるのに、ほとんど採算度外視でコンディをここまで作り上げた、エトスデザイン近藤博志社長(元4回全日本チャンプ!)の情熱にあらためて感謝!(万)

チビッ子観客は名古屋から!戻る

 クラシック・ヒームカでおなじみの安家元村(あっかもとむら)小学校前の人工セクションではもうじき成田亮・渋谷勲のスーパーアクションライディングが行われようとしていた。そこから約2キロ手前の道端に4人の小さな子供たちが明らかにトライアル参加者の応援のためにキチンと座って待っていた。が、参加者到着までにはまだ2時間もある。そこで親に断り、アクションライディングを見に行こうと車に乗せたら、そのうち小学1、2年とおぼしき2人が「私たち名古屋から飛行機で来たの。毎年夏はバイクを見に来るようなもんよね」「うん、バイク面白いから…」ゲゲッ??こりゃ驚いた、まさかこんなチビッコ応援団が名古屋にもいようとは…! こんなかたちでイーハトーブトライアルの影響力が思いもよらないところまで浸透していることは事実…(万)

観戦ジャンボタクシーも大好評!戻る

 今回、イーハトーブトライアル観戦バスツアー企画が、マイクロバスの人数に達しなかったため、地元葛巻町のジャンボタクシー(8人乗りハイエース4WD)でツアーは催行されたが、小回りの効く車体と誠実な運転手さんのおかげで参加者からは大好評。ほとんどクラシックのコースと予定に沿って運行されたため、アクションライディングも普代村と田野畑村で見られ、二日目にはさんだいなべ頂上まで上って360度パノラマセクションもたんのうしていた。途中には道の駅やアイスクリーム休憩などもあって、参加者はみな大満足で家路についた。来年もよりよい観戦ツアーを企画しますので、ご参加よろしく!(万)

驚くべき意識の低さにカァーツ!!戻る

 イーハトーブトライアル参加者の意識レベルが、一部では年々下がっていることの証として以下のエピソードをひとつ。これを読んで笑えない人はマジに心を入れ替えて来てよ! 昔はこんなライダーは絶対にいなかった…。
 ヒームカスタート後約25キロほどの、案内沢下り坂でのこと。参加者の一人が止まっているので、どうしたのかたずねると、エンジンが止まったとのこと。原因はわかるのかと聞くと、ガソリンが無いらしいとの返事。見ると連れのライダーが3リッターしか入らないタンクからガソリンを分けている。え、まだスタートしたばっかりじゃない!しかも、キミのタンク、5リッターぐらい入るヤツじゃないの!? つまりスタートのときに満タンじゃなかったわけね。「キミねぇ、イーハトーブトライアルをナメるにもほどがあるじゃないの…」と心の中で思ったけど、バカバカしくて言う気にもならなかった。自分のことは自分でするという大基本をよーく頭に入れて準備と訓練をしてくるのがトライアル精神なんだよ! まして長丁場イーハトーブでの準備不足は自分が完走できないだけでなく、仲間に迷惑をかけるのだという自覚をもってエントリーするように! (万)

栃内先生、さようなら戻る

 第4回大会から20年以上もイーハトーブトライアルの医療を担当し、数々のライダーを手当てしてきた栃内秀宣先生がお亡くなりになった。イーハトーブトライアル無事終了のご報告をしようと思っていた8月28日のことだった。
 6年前に肝臓ガンで手術を受けられたあとも強靭な肉体と精神力で大会会場に姿を見せたものだったが、今年の春から体調を崩され、とうとう帰らぬ人となった。
 自衛隊の嘱託医でもあった先生は、自衛隊看護士である対馬さんとコンビで来られることが多かったが、あるとき美人バイクライダーとし雑誌で有名だった人がケガをし、山の中で何針も縫う処置をしたとき、痛みのあまり気を失って彼女は対馬さんの腕の中に倒れこんだ。「せっかく俺が治しているのに、対馬のほうにいっちゃうんだもんなー」と、たいそう残念がっていたのをいまでも思い出す。
 でも、美人ライダーはその後、若くして亡くなったので、いまごろは対馬さんに邪魔されないところでもういちど腕の中に倒れてもらっているかもしれない。
 栃内先生、たくさんの参加者がほんとうにいろいろお世話になりました。
 イーハトーブトライアルは、先生がご紹介下さったたくさんの医療関係者の方々に支えられて、これからも世界一楽しいトライアルを心がけてまいります。
 どうぞゆっくりおやすみください。(万)

来年は規則書を良く読んでからエントリーを!戻る

 来年はこの大会も27回目となる。27歳といえば立派なオトナ。イーハトーブトライアルも一段成長しなくちゃ…というわけで、クラス分け変更や、もしかすると新しいカテゴリーが生まれている可能性もあるので、まずは規則書によーく目を通してエントリーするほうがいい。もちろん、ルールも改めてチェックしてから来てほしい。美しい岩手で楽しい時間を過ごし、素晴らしい思い出を作るために、マシンもライダーもできる限りの準備をしてくることはいうまでもない。では、みなさん、また来年の夏、岩手で会いましょう!